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胃潰瘍・十二指腸潰瘍
胃潰瘍・十二指腸潰瘍とは
胃潰瘍・十二指腸潰瘍はその名の通り胃や十二指腸に潰瘍のできる病気です。両者の総称として「消化性潰瘍」と呼ばれることもあります。潰瘍はかなり頻度の高い一般的な病気ですが、重症になると潰瘍から出血したり、‘穿孔’と言って消化管に穴が開いてしまうこともあります。
胃潰瘍・十二指腸潰瘍の原因
胃の中は胃酸により、金属も溶かしてしまうpH 1.5程度の強い酸性となっています。これは食物と一緒に入ってくる雑菌を殺すためと考えられています。胃はこのような強い酸から自分の粘膜を巧妙に守っていますが、この防御機構が何らかの原因で破綻すると、自分が出す酸で自分の胃や十二指腸の粘膜を傷つけてしまうことになります。これが潰瘍です。
一方、多くの場合、潰瘍のある方の胃にはヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)という細菌が住みついています。ピロリ菌がいると、潰瘍は一度治ってもまた再発することがよくあります。
ピロリ菌以外の成因として重要なのは、薬剤、とくに非ステロイド性消炎鎮痛薬です。これは解熱剤や痛み止めとして使われるもので、アスピリンが最も有名ですが、腰痛のための薬や、風邪薬などにも含まれています。 これらの薬剤は、胃酸から胃や十二指腸の粘膜を守るプロスタグランジンという物質の合成を抑制する作用をもっています。そのため、これらを服薬すると、粘膜の防御機構が障害され潰瘍を形成するのです。
胃潰瘍・十二指腸潰瘍の症状
自覚症状で最も多くみられるのは上腹部痛です。食後少し経ってからや空腹時によくみられ、特に夜間にしばしば起こります。何か物を食べると少し痛みがおさまるといった症状もあります。十二指腸潰瘍では、上腹部痛に加えて、背中の痛みをきたすこともあります。そのほか、むねやけ、吐き気、嘔吐などがみられることがあります。
なお全ての潰瘍の患者さんに上腹部痛が現れるわけでなく、痛みが出現せず、突然吐血・下血などの出血症状が起こる場合もあります。
胃潰瘍・十二指腸潰瘍の検査と診断
胃潰瘍・十二指腸潰瘍の診断は、上部消化管内視鏡検査により確定します。
胃潰瘍・十二指腸潰瘍の治療
胃潰瘍・十二指腸の治療は、基本的には酸分泌抑制薬の内服です。どのような背景にせよ、自身の胃が分泌する胃酸が原因で粘膜が障害されてしまうため、胃酸の分泌を抑える薬が潰瘍治療の特効薬となります。
また、潰瘍から出血がある場合には、内視鏡を使って出血部位に止血剤を注射したり、クリップをかけたり、レーザーで血管を焼く止血治療が行われます。効果がなければ手術が行われることもあります。
初期治療後の治療として、潰瘍があり、ヘリコバクターピロリ(ピロリ菌)感染を伴っている場合には、ピロリ菌の除菌療法が勧められます。これには3種類の内服薬を1週間飲むことになります。ピロリ菌の除菌療法により、今まで潰瘍の再発を繰り返していた人がほとんど再発しない状態となります。 胃潰瘍・十二指腸潰瘍のもうひとつの原因である消炎鎮痛薬については、これらの内服を中止することが基本ですが、アスピリンを抗凝固薬として内服している場合や関節リウマチなどの患者さんなど、中止できないことも少なくありません。この場合には胃酸を抑える薬やプロスタグランジン誘導体を内服して頂きます。