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慢性下痢
慢性下痢とは
1日に人の消化管に入る水分量は、経口摂取と分泌される消化液で約10リットルです。そのほとんどが小腸で吸収され、糞便として約0.1~0.2リットルが排泄されます。腸管に流入する水分量がその吸収能力を超えると下痢になります。
下痢とは、便の水分量が増えて、泥状や液状になったもので、症状が3週間以上続く場合に慢性下痢といわれます。慢性下痢の頻度は全人口の約3%とされています。下痢はその病態生理から、浸透圧性下痢、分泌性下痢、腸管粘膜障害による下痢、腸管運動異常による下痢などに分類されます。
慢性下痢の原因
浸透圧性下痢は、腸管に吸収されない食べ物や薬剤により腸管内の浸透圧が上昇し、水分と電解質が腸管内に移行することによって起こります。牛乳の摂取で下痢を起こす場合はこれにあたります。分泌性下痢は、細菌の毒素やウイルス、胆汁酸や脂肪酸、ホルモンなどにより、腸の粘膜から水分の分泌が亢進することにより起こります。腸管粘膜障害による下痢は、炎症性腸疾患や重症の細菌性下痢などにより腸管から滲出液や血液が排出されることによって起こります。 腸管運動異常による下痢は、過敏性腸症候群に代表されるように、腸管運動の亢進や低下によって起こります。
実際の下痢の原因として、細菌やウイルス感染症、薬剤性(抗菌薬、抗不整脈薬、自律神経薬、抗がん薬、ビタミンCなど)、小腸や大腸の器質的な異常(潰瘍性大腸炎、クローン病)、大腸がん、消化吸収障害、過敏性腸症候群、放射線性など様々なものがあります。また消化管自体の原因だけではなく、内分泌疾患(膵臓疾患、甲状腺機能亢進症など)などによる可能性もあります。
慢性下痢の症状
下痢の程度がひどいと、脱水状態や、ナトリウム・カリウムの不足といった電解質異常をきたします。下痢の原因にもよりますが、貧血、発熱、腹痛、体重減少などを伴うこともあります。
慢性下痢の検査と診断
貧血や炎症の有無を調べるための血液検査、潜血反応や細菌・虫卵検査のための糞便検査、大腸の器質的な異常を調べるための大腸内視鏡検査などが有効です。
慢性下痢の治療
対症療法として、下痢の程度に応じて水分・電解質の補給を行いますが、下痢の原因疾患は様々であり、下痢の原因疾患ない対する治療が重要です。